Sword Fish Moon Escort

月の「裏側」から発射されたとおぼしきミサイルの一群がこちらに向かってくる。
「ソードフィッシュ隊、各個迎撃だ!シャイアンには死んでも当てるなよ。」
ダ・シルバ隊長の濁声が通信コムから響く。
今や地球の命運は、「シャイアン」と呼ばれる1機のムーブメンターにかかっていた。
そのシャイアンを護衛・死守する事、それが我々ソードフィッシュ隊の任務だった。
シャイアンの前方宙域に展開する我々の前に無数の光点が近づいてくる。
さあお出迎えだ。レーザーカノン発射。 オレンジ色の線がまっすぐ前方の光点に伸びてゆき、交差すると同時に大きな光の玉が炸裂した。
眼前に瞬くおびただしい数の光球。しかし、敵のミサイルの数はその光球の数を凌駕していた。 攻撃をかいくぐった幾つかが、寮機をとらえた。すぐ近くで大きな火球が破裂し、3番機と7番機の信号が消滅した。そして幾つかは、我々の対陣をすり抜けて、後方のシャイアンへと向かっていく。
私は小さく舌打ちすると自分の機を反転させ、その後を追った。アタッチ・ブースター点火。距離を詰めて迎撃。何とか間に合った。どうやら第一波は凌いだようだ。

迎撃するソードフィッシュ

機体を立て直し、元のポジションに戻ろうとしているその横を猛烈なスピードでシャイアンが追い越していった。すれ違い様、通信モニターに「THX」の文字が灯った。
「Rin」。確かそんな名前だった様に思う。ブリーフィングの後、格納デッキへと向かう通路で、私はシャイアンのパイロットと思しきその少女とすれ違った。人類の未来を一身に背負うには、その体はあまりにも小さく華奢に思えた。こめかみに光るシリンダーが、この娘の希有な運命を象徴しているかのようだった。
こんな少女一人に人類全ての未来を託さなければならない状況を作り上げてしまった事に、我々大人はその罪深さを思い知るべきだ。
でなければ、今にひどい事になるだろう。