ギタリストのアーティ
Artie the guitarist

Version 3.00



from AG Tour Program

アートが持っているのは Kay のギター



< 初期 >

 簡単なコード・ストロークではあるが " Private World " 、" Forgive Me " ではアート自身がギターを弾いている。
 この " Private World " はアート自身により作曲されたもの。  この曲は当時のフォーク・ソング・ムーブメントの担い手であるキングストン・トリオやブラザーズ・フォアを彷彿させる出来に仕上がっている。



<1964年 『水曜の朝、午前3時』のレコーディング>


 " Dear Paul ・・・ send me the chords to " Wednesday Morining " because I expect to do singles at Gerde's for few nights. "(「水曜の朝、午前3時」のコードを送ってください。ガーズで何回か独奏しようと思っています。)
 <1964年のアルバム" Wednesday Morining "<水曜の朝、午前3時>のアートによるライナー・ノーツ 〜 ロンドンにいるポールに宛てたアートの手紙から>

 この Gerde's とは、1952年から1987年までの間、ニューヨークのフォーク・シーンを支えてきたグリニッジ・ヴィレッジのライブハウス、Gerde's Folk City (ガーズ・フォーク・シティー) のこと。
 ボブ・ディランやポールに混じってアートもガーズの常連だったのかも知れない。
 なお、S&Gのフォーク・シティー出演については、「フォーク・シティー 〜151人のアーティストが語るNYライヴハウスの興亡」 (晶文社刊、ロビー・ウォリヴァー 著、左京久代 訳) に詳しい。




1964年 " Wednesday Morining , 3AM " <水曜の朝、午前3時>レコーディング風景
上 : " Temples of Sound : Inside the Great Recording Studios "CHRONICLE BOOKS から。
下左: " Silent Voices " BACKBITER BB61047 の CDジャケットから。
下右: " MOJO " Issue 156 / November 2006 から。
 アートが弾いているギターは、ギルドの12弦ギター。この時期の12弦ギターは1963年末に製造、1964年に発売された F-212 か F-312 しかない。F-212 と F-312 はボディのサイズがいっしょであるが、F-212 はボディのサイドとバックがマホガニーであるのに対して F-312 はローズウッド。このモノクロの写真からはその違いが判別できない。
 ピックガードはこの時期固有の「B字」形状。
 ヘッドのチューナー部の白いボタンが Kolb 製のようにも見えるが Kluson 製であろう。
 スタジオ右端のギタリスト(『フォーク・シティー』の記述から Barry Kornfeld<バリー・コーンフェルド>と思われる)が弾いているギターもギルドに見える。アートが弾いているギターはスタジオの備品かポールまたはバリーからの借り物だったのかも知れない。
 ポールがアートのギター・プレイを暖かく(心配そうに?)見守っている。
 また、二人のヘアスタイルは、アルバム " Wednesday Morining , 3AM " <水曜の朝、午前3時>のジャケット写真と合致している。よって、" MOJO " の掲載写真にクレジットされている「1964年」の撮影時期を裏打ちしているものと判断できる。

 なお、この1964年頃のギルドの特異なピックガード形状と 白いボタンの付いたチューナー( これはKolb のダイヤモンド形状の白ボタンではあるが)については、シンコー・ミュージック 『 アコースティック・ギター・ブック24 』 の p.77 に掲載されている6弦ギター F-47 の写真で見ることができる。



< 1966年 " Shivaree " 出演 >

 1966年1月1日、音楽バラエティ番組 " Shivaree " に出演。口パクではあるが二人ともギターを弾きながら" We've Got A Groovy Thing Goin' " と " The Sounds of Silence " を歌っている。




上左: " We've Got A Groovy Thing Goin' " を歌うS&G。
上右: " The Sounds of Silence " を歌うS&G。
下左: " THE BEAT " Volume 1 , Number 51 / March 5 , 1966 から。二人のオフステージ・ショット。
下右: " GOLDMINE " Issue 305 / April 3 , 1992 から。二人の位置関係が本番と異なる。カメラ・リハーサルの最中か。
 アートが持っているのはギブソンのセミ・アコースティックギター ES-335。ボディの色は、Black か Brown 、または Cherry と思われるが、曲調および二人のコスチュームからすると Black か Brown であろう。
  口パクのため実際はギターを弾いてはいないが、二人の左手の運指、つまりギターのコード進行は揃っている。だとするとストローク奏法に限って言えばアートのギターの腕前もなかなかのものだったのかも知れない。
 また、二人のヘアスタイルはアルバム " Sounds Of Silence "<サウンド・オブ・サイレンス>のジャケット写真と合致している。よって、アルバムのレコーディングとジャケットの写真撮影を完了した直後のこの日のTV出演を裏打ちしているものと判断できる。

 なお、パトリック・ハンフリーズ(Patrick Humphries)は著書 " PAUL SIMON " <ポール・サイモン>の中で、" An American student called Caroline Culpepper staying at her flat and teaching Art Garfunkel how to play guitar; one of the songs she remembers Garfunkel learning was Scarborough Fair." とジュディス・ピープ(Judith Piepe)の回想を引用しているように、後年、アートがある程度のギターのレッスンを受けていたことが窺える。



 S&Gはエヴァリー・ブラザーズのように、「二人のギターをバックにした二人のハーモニー」というバンド・スタイルは有り得たのであろうか。
 否。ポールがギター・アレンジを念頭に入れたソング・ライティングを行い、進化し続けるポールのそのギター・テクニックにアートが追従できなければ Tom & Jerry 時代からの「ポールのギター1本による二人のハーモニー」というバンド・スタイルは結局変わらなかったものと思われる。
 また、「ポールの高度なギター・プレイとアートの美しいボーカルによる二人のハーモニー」を武器にしたスタイルは当代無比、つまり S&G のバンド・スタイルは現在に至るまで、他のアーティストに対して大きな差別化を果たしてきたものと思われる。



< 前のページへ戻る場合はブラウザの 「 戻る 」 ボタンをクリックしてください >

Copyright(C) 2007-2012 M.Satoh
写真については本文説明のため引用しました。