Simon & Garfunkel
THE 2009 CONCERT TOUR / JAPAN
TOKYO DOME / July 11th , 2009
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01. Video Montage ( BGM : America inst.) 02. Old Friends / Bookends 03. A Hazy Shade of Winter 04. I Am a Rock 05. America 06. Kathy's Song 07. Hey Schoolgirl 08. Be Bop A Lula 09. Scarborough Fair 10. Homeward Bound 11. Video Montage: (BGM : The 59th Street Bridge Song) 12. Mrs Robinson Includes " Not Fade Away " 13. Slip Slidin' Away 14. El Condor Pasa (If I Could) Art Solo : 15. Bright Eyes 16. A Heart In NewYork 17. Perfect Moment / Now I Lay Me Down To Sleep |
Paul Solo : 18. The Boy In The Bubble 19. Graceland 20. Still Crazy After All These Years 21. The Only Living Boy in New York 22. My Little Town 23. Bridge Over Troubled Water Encore: 24. The Sound of Silence 25. The Boxer 26. The Boxer (reprise) 27. Leaves That Are Green Encore2: 28. Cecilia 29. Introductions of band 30. Cecilia (reprise) |
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Mark Stewart Jamey Haddad Rob Schwimmer Andy Snitzer Charley Drayton Bakithi Kumalo Tony Cedras Vincent Nguini Larry Saltzman Warren Bernhardt |
<マーク・スチュアート> <ジェイミー・ハダード> <ロブ・シュウィマー> <アンディ スナイツァー> <チャーリー・ドレイトン> <バキチ・クマロ> <トニー・シドラス> <ビンセント・ンギーニ> <ラリー・ソーツマン> <ウォーレン・バーンハート> |
Guitars, Cello, Saxophone Percussion Keyboards , Theremin Keyboards , Saxophone Drums Bass guitar keyboards, guitar, accordion, trumpet Guitar Piano |
1982年の初来日、1993年の2回目に続き今回2009年は3回目の来日コンサートになる。
このコンサートは、今年6月13日から7月2日にかけて行われたニュージーランド、オーストラリア・ツアーからの流れで、日本国内で合計6回行われるもの。
この日、つまり7月11日は、1日目の名古屋における7月8日、同じ東京ドームにおける前日10日に続く来日3日目であり、チケットが真っ先に " Sold Out " 状態になった土曜日のコンサート。
4月6日の新聞各紙に初めて来日コンサートの広告が出てから日本のファンにしてみればあっという間の3箇月間。
ポールは「S&Gとしてのツアーはこれが最後になると思う。」と公言しており、今回の日本でのステージはこれが最後となる。
つまり、" Old Friends Tour " と銘打って2003年から2004年にかけて行われた全米、ヨーロッパの大規模なツアーから5年ぶりとなる今回の日本ツアーは彼らにとってもファンにとっても大きな区切りになるコンサートと考えられた。
1941年に生まれた Paul Simon と Art Garfunkel はこのツアーの時点で 67歳になる。
そういう意味で、二人の高齢化を考えると「この機会を逃したら二人には本当にもう二度と会えないかも知れない。絶対にコンサートには行きたい。」と思う最中、インフルエンザ騒動もあり、「本当にコンサートやれるの?」、「でも絶対に来日してほしい!」と焦燥感にかられる3箇月間だったように思う。
コンサート内での二人の呼称、入り口看板は、" Simon & Garfunkel " ではなく " SIMON AND GARFUNKEL " 。
場内でのアナウンスも、「サイモンとガーファンクル」ではなく「サイモン・アンド・ガーファンクル」に統一されていた。
でも、パンフレットとは齟齬がある。急な来日決定からの3箇月間か、コンセプトの一部に俄仕立てが見える。反面、この3箇月間でよくぞここまで漕ぎ着けたものだ。主催者、協賛者に感謝。
ステージの照明デザイナは、Richard Locklin 。ステージ上に、キャンドルのように赤く光る " Big Tree " がそそり立つ。
リチャードの " Old Friends' Big Tree " が、「この木を目印にみんな集まっておいでよ。」と聴衆を案内してくれた。
聴衆の中には、髪に白いものが混じった人が少なくない。膝を痛めているのか足を引きずりながら自分の席に向かう人、そして1階の最後列には車椅子の人たち。
「ポール、アート、みんな君たちに会いたくてやって来たんだよ。」
17時15分、場内が一瞬のうちに暗くなり開演。
3基のスクリーンには、" America " を BGM に、1969年にアメリカで放映された " Songs Of America " 、当時のアメリカの若者の風俗、そして S&G 二人の若い頃から現代に至るまでのビデオが映し出され、コンサートのコンセプトである " Old Friends " を暗示する。
そして、ついに S&G が出現!・・・場内は歓声に包まれる。
" Old friends , Old friends sat on their park bench like bookends ・・・ A time of innocence , A time of confidences "
" Old Friends / Bookends " でスタートが切られる。
" Old Friends " には二つの意味がある。『 昔からの友人 』つまり 『 旧友 』、そして 『 年老いた友人 』。
ポールは、" Still Crazy After All These Years " の " Crazy " に二つの意味を持たせるようにしばしば含蓄のあるメタファーを用いる。
実は、" Old Friends " が S&G であり、現在あるいは未来の聴衆であることに気づかされる。
アルバム " Bookends " <ブックエンド>は1967年に制作され、1968年にリリースされた。1967年当時のアメリカにおける男性の平均寿命は67歳であった。" Old Friends " の " How terribly strange to be seventy " はそんな中での S&G の人生観であった。この年、 S&G は当時のアメリカの平均寿命である67歳になる。
そして、2曲目は1994年のTBSドラマ『人間・失格』(脚本:野島伸司)のテーマ曲として日本でリバイバル・ヒットした " A Hazy Shade Of Winter " <冬の散歩道>。
エレキ・ギターの強烈なリフが印象的だ。
" Time , Time , Time ,See what's become of me ・・・Leaves are brown"
コンサートのもう一つのコンセプトは " Time " だ。そしてコンサートは組曲で構成されており、組曲は S&G さらに聴衆の自叙伝であることに気がつく。
コンサートの会場は現在から過去、過去から現在へと時空を旅する。
" America " を歌い終わってアートの第一声。
" こんばんは、東京! Five ways at long last ! (大歓声)・・・あのー 。あのー・・・。(大爆笑)
I am Art Garfunkel.This is my old friend Paul Simon . And we're standing here in center field on . "
アートのこの「あのー」でツカミはOK。
日本でのツアーは5箇所で合計6回の公演が予定されている。" Five ways at long last ! " は、「5箇所での日本公演がついに実現できたよ。」という意味と、日本でのツアーが恐らくは最後になるため「日本公演は5箇所でとうとう最後だよ。」といった意味になるのだろう。
そして、" そうですね。Here is , maybe , my favorite song in the show . " といってアートが " Kathy's Song " を歌い始める。
以前の二人のコンサートでは、ポールがソロでこの歌を歌っていた。ポールのかつての恋人のキャシーはアートにとっては友人になる。「キャシーは元気で暮らしているのかな。」と思いを馳せてしまった。
アートは、「11歳」と言いながら二人の最初の出会いを紹介し、「15歳」と言いながら二人のデビュー曲 " Hey Schoolgirl " そして、Gene Vincent and His Blue Caps の1956年のヒット曲 " Be Bop A Lula " を歌う。
" Scarborough Fair " ではマーク・スチュアートのチェロが曲に荘厳さを加え、" Homeward Bound " ではラリー・ソーツマンのガット・ギターが郷愁を誘っていた。
再び、スクリーンには、 1967年の " Monterey Pop Festival" 、アートが出演した映画『キャッチ22』や『 愛の狩人 』のスチール等に混じって、S&G が音楽を担当した映画『卒業』の映像が流れ、ステージは大ヒット曲の一つ、" Mrs.Robinson "<ミセス・ロビンソン>へなだれ込む。
アートのソロは、1979年のアニメ " Watership Down " <ウオーターシップダウンのうさぎたち>のテーマ曲 " Bright Eyes " <ブライト・アイズ>からスタート。
これまでのアートのソロ活動の中からベストと思われるバラードが選曲されておりアートの声は渋さを加えて相変わらず魅力的だ。
一転、ポールのソロは " The Boy In The Bubble " <ボーイ・イン・ザ・バブル>でスタート。
ビンセント・ンギーニのアコーディオン、チャーリー・ドレイトンのドラム、そしてアルバム " Graceland " セッションにも参加したバキチ・クマロのベースが暗闇を突き破り、ドームを重量感と躍動感のある世界に変貌させる。
ポールの声は、ギターのテクニックとともに衰えを知らない。むしろ最近では声が良く通るようになったように感じる。
" Still Crazy After All These Years " におけるアンディ・スナイツァーのサックスも最高。変なアドリブを入れないオリジナルに近い演奏は、ポールのタイトル・アルバムのセピア色のジャケットを素直に思い出させてくれた。
ポールが、" Song from ' Bridge Over Troubled Water ' album " と紹介し、" The Only Living Boy in New York " <ニューヨークの少年>で二人のステージが再びスタート。
大好きな曲の一つだ。スタジオ録音に忠実にコラールのアレンジを施したコーラスがドームの残響を活かして聴衆を包み込む。
ステージは佳境。ウォーレン・バーンハートによる『明日に架ける橋』のピアノのイントロが流れ大きな拍手が沸き上がる。
そして前代未聞。一番を歌うアートの歌い出しと歌い終わり、二番を歌うポールの歌い出しと歌い終わり、三番を歌う二人の歌い出し。それぞれにも大きな拍手と歓声が沸き上る。
そして最後のアートの熱唱。いつまでも鳴り止まぬ大きな拍手と歓声。場内はスタンディング・オベーション。
「ありがとう。この歌は二人が完成させたんです。」と言っているように二人は丁寧に歓声に答える。東京ドームの空気圧は最高潮。
「すごい!すご過ぎる!あなたたち二人と同じ空間、同じ瞬間、そして同じ時代を共有できて本当に幸せです。」涙が止まらなかった。
アンコール。とっておきの大ヒット曲、" The Sound of Silence "<サウンド・オブ・サイレンス>、 " The Boxer "<ボクサー> 。 " The Boxer " ではロブ・シュウィマーが不思議な楽器テルミンの美しい調べを聴かせてくれた。
そして、組曲の仕上げは " Leaves That Are Green "<木の葉は緑>。
" Hello , Hello , Hello , Hello , Good-bye , Good-bye ,Good-bye ,Good-bye , That's all there is ・・・Leaves that are green turn to brown "
「出会いと別れの繰り返し、ただそれだけ・・・かつての新緑はいつしか紅葉に」
" Old Friends " は、" Brown Leaves " のメタファーで結ばれる。
かつてポールとアートは多くのフォーク・シンガー同様、1960年代の一時期、日本を始めとする東洋の思想や哲学の影響を受けたイギリスのフォーク・シーンに身を置いていた。現に ポールの " A Simple Desultory Philippic " <簡単で散漫な演説>には、" Haiku " <俳句>が登場する。
" Old Friends Tour " の底流には、『 輪廻 』 、 『 功徳 』、『 カルマ 』 といった哲学に通じるものがあるような気がする。そう考えるとステージで流されたビデオ・モンタージュは、中国から伝来した『走馬灯』にも思えてくる。
偶然か必然か、2003年に " Old Friends Tour " を開始した二人は、そんなルーツを回顧しつつ、東洋の日出ずる国、日本を回帰の地として選んだのではないだろうか。
そして、いよいよステージはミュージシャンの紹介を挟みながら、賑やかに " Cecilia " でフィナーレだ。ジェイミー・ハダードのパーカッションが彩りを添える。
名演を聴かせてくれた一流ミュージシャンたちの名前を今日の日付といっしょに心に刻む。
19時15分、終演。
感無量。夢心地。茫然自失。
今でも、心を東京ドームに置き忘れてきた感がある。" Tokyo Dome where my heart lies " である。
そして、1981年のセントラル・パークのS&Gコンサートにおけるアートの言葉を借りれば " What a night " であり、" Happy party " のようなひとときであったように思う。
ポールとアート、旧友・・・かけがえのない親友。この日ステージで、ポールはアートを "My good friend " と紹介し、アートはポールを " My dearest oldest friend " と紹介していた。
1982年、1993年の来日に続き今回は特別な意味を持っていた。それは1970年に二人が解散をして、2003年に二人が真の和解をした後にやっと実現した来日ツアーだからだ。
そういう意味でこの日は 『 S&G来日三部作の完結編 』 、それもハッピーエンドになった思いがする。
でも、これが二人の見納めかと思うと心のどこかが燻っている。
これからS&G二人は帰国し、それぞれの日常に戻ってしまうというのに。ポールはまた息子ハーパーとフィアンセの口げんかの仲裁をしないといけないし、地元の野球チームで子供たちを指導していくのだろう。
二人の来日はこれで本当に最後かも知れない。でも、スタジオ録音でもいいから二人の新曲をまだまだ聴かせてほしい。ソロでもいいから二人が元気で歌い続けていることがこれからもニュースで伝わって来てほしい。
そんな思いがこみ上げてくる。
会場を後にするときアートがこんなふうに言っているような気がした。「また今度、ポールといっしょにふらっと野球観戦に来るよ。そのとき来日の理由を訊かれたら前みたいに日本語でこう答えるよ。 『 好奇心!』 ってね。」