日々悶々としていることを書き連ねています。
2005年11月21日(月)@ HPの更新について
多忙のため、『北米自動車産業の労使関係』の更新が滞っています。そろりそろりと更新に取り掛かりたいと思っています。気長にお待ちいただけると幸いです。
2005年11月21日(月)A米最高裁、職場への移動時間を労働時間と認定
2005年11月8日、アメリカ連邦最高裁は、仕事に必要な作業着や安全具を着用する時間および着用場所から職場までの移動時間に、給与を支給する義務があるとの判決を下した。判決は、全員一致だった(ロバーツ新最高裁長官含む)。
ちなみに、連邦最高裁は、すでに50年前に、仕事に必要な作業着を着用する時間を労働時間と認定しており、この点はとくに争点となってはいない。争点は、ロッカールームといった着用場所から職場までの移動時間を労働時間と認定するかどうか。それが、今回の判決で、労働時間とみなされることが最終的に確定することになった。
(参考)
ホンダ・リンカーン工場、ロッカー室での制服着用・義務を廃止
2005年11月21日(月)B AFL-CIOの最近の動き(1)
2005年11月16日(水)、AFL-CIOと改革連合(脱退派)は、地域評議会で改革連合所属組合にAFL-CIO所属組合と同じ権利を認めることで合意した。
AFL-CIOはこれまで、改革連合が地域評議会に加わる場合、@余分な会費が必要、A改革連合の組合員は地域評議会の役員に立候補できない、という条件をつけていた。それが、今回、すべて撤廃されることになった。
2005年11月21日(月)C AFL-CIOの最近の動き(2)
2005年11月8日(火)、カリフォルニア州で住民投票がおこなわれ、シュワルツネッガーの支持する4つの提案全てが否決された。
選挙では、改革連合(脱退派)とAFL-CIO(残留派)の組合が、AFL-CIO中央からの締め付けを跳ね除け、全面協力してシュワルツネッガーを敗北させた。
選挙結果を受け、シュワルツネッガーは、これまでの政策を転換し、民主党や組合との協力関係を重視する姿勢を打ち出しているが、まだしばらくは、シュワルツネッガーの動向を注視していく必要がありそう。
ちなみに朝日新聞は、加州選挙の記事で、労組を「抵抗勢力」と呼んで、否定的に扱っていた。アメリカのメディアは、明らかな犯罪を除いて、当事者の主張を紹介することなく、一方的に価値判断をすることはない。しかし、日本のマス・メディアには、反対意見を紹介(取材)することなく、政策の善悪を一方的に判断する権利(構造改革しなければならない、それに反対する輩は抵抗勢力だ云々)があるようだ。日本のマス・メディアには、「建前」としての不偏不党さえ存在しないようだ。ぷんすか、ぷんすか。
2005年11月21日(月)D シュワルツネッガーが看護師組合に譲歩
2005年11月10日(木)、シュワルツネッガーは、州最高裁への上告を取り下げ、患者5人につき常時1人の看護師を求める州法の実施を(これ以上)延期しないことを決定した。
加州のデービス前知事は在任中、2004年から患者6人につき常時1人の看護師を、2005年からは患者5人につき常時1人の看護師を必要とする法案に署名した。しかし、その後知事になったシュワルツネッガーは、看護師不足や病院経営への悪影響などを理由に、法案の実施を一方的に延期。それに対し、看護師組合が、シュワルツネッガーを裁判に訴えた。
そしてカリフォルニア州高等裁判所は、2005年3月、シュワルツネッガーに法案を一方的に延期する権利はないとの判決を下したが、シュワルツネッガーはその受け入れを拒否して、上告していた。
しかし、住民投票の敗北を受け、シュワルツネッガーは態度を急変。11月10日(木)、上告を取り下げ、これ以上、法案の延期を求めないことを決定した。
この間、看護師組合は、反シュワルツネッガーキャンペーンを大規模に展開。住民投票でも、知事提案への反対運動に大きくかかわった。看護師組合は、今回の決定について「大勝利
an enormous victory 」とコメントしている。
補足: 州高裁が、法案の延期を無効とする判決を下したため、すでに法案は実施にうつされている。サンフランシスコ・.クロニクル紙(11/12電子版)によれば、シュワルツネッガーが主張したような大きな混乱は生じず、現在、ほぼ全ての病院が法の基準を満たすに至っている。
2005年9月21日(水) AFL-CIO分裂のその後(2)
(その一)
9月14日(水)、UNITE HERE(45万人)が、AFL-CIOを脱退した。
(その二)
AFL-CIO分裂後、SEIU(国際サービス従業員組合)とAFSCME(地方公務員労組)の間で、組合(介護労働者)の引き抜きを巡り深刻な争いが発生した。労組関係者は、こうした組合の取り合いが広がると、脱退派(以後「改革連合」と記す)と残留派の対立が深刻化し、地域での協力関係が壊れるのではないかと懸念していたが、それが解決した。
9月20日(火)、SEIUとAFSCMEは、カリフォルニア州とペンシルベニア州で相互不可侵協定を締結。今後、両組合が合同で、組織化を進めていくこと(組合費は半々に分ける)が決まった。両組合は、将来は、保育労働者まで、協力関係を広げることを検討していると伝えられている。
日本では、イデオロギー的に対立する組合をつぶして奪い取るのが当たり前。そんな常識に慣れていると、今回の「手打ち」には本当にびっくりさせられる。本当に、心配すべきは、海のどちら側なのかなぁ。
2005年9月19日(月)@ イギリスで最低賃金がアップ
2005年10月1日(土)から、イギリスの最低賃金が次のように引き上げられる。
| 2005年10月1日〜 (時給) | 2006年10月1日〜 | 2007年10月〜 | |
|---|---|---|---|
| 22歳以上 | 5.05ポンド(1,010円) | 5.35ポンド(1,070円) | 5.52ポンド(1,104円) |
| 21-18歳 | 4.25ポンド(850円) | 4.45ポンド(890円) | 4.60ポンド(920円) |
| 18歳未満 | 3ポンド(600円) | 3.3ポンド(660円) | 3.40ポンド(680円) |
註: 1ポンド=200円で計算。
都心部ではどうか知らないが、地方では、最低賃金にへばりついた仕事(賃金)が少なくない。最低賃金の果たしている役割(賃金の下支え)は、小さくない。
しかし、日本では、産別最賃を廃止して、水準の低い地域最賃(東京で時給714円:2005年10月から)に一本化する動きが強まっている。もしそれが実現されれば、地方の工場などで働くパートの時給は、のきなみ地域最賃のレベルまで引き下げられることになるだろう。うーん。
参考: 地域別の最低賃金はこちら。産別最賃はこちら。
2005年9月19日(月)A 労働契約法の問題点
労働契約法を審議してきた研究会が「報告書」(9月15日付)を出した。
同法の最大の問題は、金銭を払えば誰でも自由に解雇できるという点。これでは、解雇自由法といわざるを得ない。
人種、性などを理由とした差別的解雇については、適用しないと言うが。企業が、そんなことを自ら認めるわけがなく、結局、裁判で、被害者が企業側の差別的意図を証明することが必要となる。圧倒的に、企業に有利な仕組みだ。註1
不当労働行為が金銭解決の除外事例となっていないことは、もっと問題だ。このまま、この法律がとおれば、少数派組合にかぎらず、企業が好ましいと思わない労組の組合員は、いともたやすく首を切られることになる。この法律は、戦闘的な労働運動を、最終的に職場から締め出す役割を果たすのではないか。この点を批判しているものをあまり見ないので、大変心配だ。(解雇自由といわれる、アメリカでさえ、不当労働行為と認定されれば、復職命令が出る。)
さらに、解決金の額は、労使間で取り決めるとされているが、金額について最低限の保証がないのも大きな問題だ。「報告書」は、「労使で集団的に決定するとすれば、不当に低い金額となることは考えられず」(64頁)などと、まったく現実離れしたことを言っているが、企業のいうがままになっている労組や過半数代表が、非常に低い金額を決定することは、非常にありうる話ではないか。
最後に、労働者から選出された労使委員会(労働者代表)に、就業規則の変更権などを認めるのは、労組の自滅行為となるのではないか。労働組合がよほど強くなければ、労使委員会は、結局、企業よりの従業員が多数を占めることになるだろう。あるいは、労使委員の地位の保証が充分でないため、労使委員は、報復を恐れて、企業の利益に反した決定はおこなえなくなるだろう。私は、私自身の労使委員の経験から、こうしたことが確実におこると断言する。
ドイツの労使委員会がうまく機能しているのは、それをバックアップする労組と政党がしっかりしているからだ。もし企業が労使委員会(労働者の意見)をないがしろにすれば、労組や政党が黙ってはいない。山猫ストもある。こうした力が背景になければ、労使委員会は(企業から)独立した機関としてうまく働かないだろう。
補記: 「報告書」は、先に出された「中間まとめ」より、「良く」なっている点もある。例えば、整理解雇の4要件を明記する必要があるとしている点など。中間報告では、「議論を深める必要がある」(40頁)といった言い方しかされていなかった。
しかし、法案作成の段階で、実際に4要件の明文化がなされる可能性は、あまり大きくないのではなかろうか。現実の力関係を正確に見極めることが必要だ。
註1: (差別など)「使用者の故意又は過失」(63頁)による場合には、適用しないとあるが、一体、それを誰が証明するのか?ちなみに、イギリスの「不公正解雇法」は、解雇が正当であること(差別などに基づかないこと)の立証責任を、使用者に負わせている。
参考:
中間まとめ(2005年4月13日)
「中間まとめ」に対する日本労働弁護団の見解(2005年4月27日)
報告書(2005年9月15日付)
2005年9月8日(木)@ 加州上下院が同性婚を認める法案を可決
9月6日(火)、カリフォルニア州上院は、41対35で、同性婚を認める法案を可決した。下院は、すでに同法を可決しており、法案の成否はシュワルツネッガーの判断(法案に署名するか、あるいは拒否権を発動するか)にかかっている。
選挙において、シュワルツネッガーは、シビルユニオン(同性パートナーに異性の配偶者と同じ法的権利を認めること)には賛成だが、同性婚には反対の立場を表明している。
追記:これを書いた直後、シュワルツネッガーは、拒否権を発動すると発表した。
2005年9月8日(木)A 朝日新聞はリベラルなのか?
朝日新聞は、平和問題や人権問題については明らかにリベラルだ。しかしその一方で、朝日新聞は、新自由主義(市場競争がすべての問題を解決するという世界観)を批判するスタンスに欠け、むしろその旗振り役を努めている。
その最たるものが郵政民営化の積極支持だ。郵政公社(公務員)は、とにかく非効率で、サービスが悪く、値段が高く、民業を圧迫し、財政赤字を拡大する元凶、なので民営化しなければならないというわけだ。朝日新聞は、国鉄、社会保険庁、大阪市などでも、徹底的に大きな政府批判(公務員バッシング)をおこなってきた。こうした点について言えば、朝日新聞は保守だ。しかも、それに反対する公務員など当事者の主張を公平に伝えない(とくに国鉄以後に顕著)。悪質だ(註)。
ところで、現在、朝日も含め、ほとんどすべてのメディアが自民党の政策、つまり郵政民営化を積極的に支持している。こんな状態で、自民党が圧勝しなければ「うそ」だろう。メディアによる出来レース。
マス・メディアにこそ、国際競争、国際スタンダード(記者クラブの廃止、警察発表・事件記事中心の紙面づくりの見直し、ほとんど意味のない版の更新競争の見直しなど)が必要なのではないだろうか。
註: 付言すれば、中国や韓国の反日運動に感情的に反発し、ナショナリズムを煽った点でも、朝日はリベラルというより保守に近い。
2005年9月8日(木)B 解雇自由法の制定へ
一定の金銭を払えば誰でも自由に解雇できるようになる「労働契約法」が、2007年に国会に上程されることが決まった(9/8日経)。
この法律は、もともとは整理解雇の4要件などを明文化すること(解雇規制)を目指して、どちらかといえば労働側からの働きかけで制定作業が始まったといわれている。
しかし、常識的に考えればわかるが、現在のような政治バランスで、労組の主張がとおる可能性は小さい(最近は、各種審議会でも、労働側の出番がどんどん少なくなっている)。案の定、厚生労働省の研究会の提案(『中間まとめ』)は、@整理解雇の4要件の明文化については曖昧な言い方に終始する一方、A一定の金銭を払えば誰でも自由に解雇できることを提言(一部の「不当」解雇については認めないとしているが、企業が自ら「不当」解雇と認めるわけがなく、企業が金銭を払って「解雇」して後、裁判でその是非を争うことが増えるだけ)するという、とんでもないしろもの。
他の先進国で、(経営にとって)こんな便利な法律は見たことがない。
また労使委員会の新設は、労働組合不要論とも読める(世界最強の労働組合が存在し、労働者政党が定期的に政権を担うドイツの制度を日本にもってきても、同じようには機能しない)。大企業の御用組合は、これを良いと言うのかもしれないが。
2005年9月4日(日)@ AFL-CIO分裂のその後(1)
AFL-CIOが分裂してからしばらくの間、スウィーニー委員長は、地域評議会から脱退派を締め出すとしていた。しかし2005年8月10日(水)、同委員長は、内外からの強い要請を受け、脱退した3組合(SEIU、チームスターズ、UFCW)が、これまでどおり地域評議会で活動することを認める提案をおこなった。
ただし、@3組合の組合員は地域評議会の指導的な地位に付くことはできない(現在、すでにその職にある場合は除く)、A3組合は、通常の10%増しの加盟金を支払う(AFL-CIOの運営費として)、等の条件が付いている。
この決定で、ほぼ従来どおり地域評議会を維持することが可能になった。しかし、脱退した組合の一部からは、上記の条件に強い反発も出ており、地域評議会が今後、どうなっていくか、なお注意して見ていく必要があるように思われる。
2005年9月4日(日)A カリフォルニアの住民投票
民主党が圧倒的多数を占める州議会で、自らの提案が受け入れられないことを知ったシュワルツネッガーは、11月8日に特別選挙(住民投票)をおこない、自らの提案を推し進めようとしている。
このために、シュワルツネッガーは全国各地で資金集めをおこない、すでに2.5千万ドル(27.5億円:1ドル=110円で計算)の選挙資金を調達している。資金調達の最終目標は、5千万ドル(55億円)。
しかし、これまでのところ、労働組合の強い反対(宣伝活動)もあり、シュワルツネッガーの提案に対する反対が増えている。8月下旬に発表された世論調査(Public Policy Institute of California)によると、@財政収入が計画水準を下回った場合、自動的に各種予算を削減する仕組みの導入(とくに州予算の1/3を占める教育予算のカットがもくろまれている)については61%が反対(賛成は28%)、A共和党に有利になるように選挙区の区割りを大幅に変更することについては49%が反対(賛成は34%)、B教師が終身雇用権(テニュア)を獲得するまでに必要な勤続年数を現在の2年から5年に引き上げることについては42%が反対(賛成は49%)となっている。
同調査によると、全成人におけるシュワルツネッガーの支持率も34%に急低下している。
ただし、シュワルツネッガーは、これから選挙活動を本格化させるとしており、まだ予断を許さない。最近は、AFL-CIOの分裂で組合や地域評議会が大きく混乱しており、組合側が結束して、十分な反対運動を展開できるかどうか疑問視する声も出ている。
今回の選挙は、シュワルツネッガーと労働組合の全面対決といった様相が強い。ここで組合側が充分な資金、人材などを集中できず、敗北するようなことがあると、AFL-CIO分裂の否定的影響があらためて問われることになるかもしれない。
2005年9月4日(日)B ホンダ(インド)の続報
インドのテレグラフ紙によると、いまだにホンダ(インド)の労働者の多く(17人から28人)が行方不明になっていて、警察に殺害・隠匿された恐れがでている。同紙は、監禁中に、怪我をした仲間の労働者が殴殺され、その後火をつけられるのを見たとする実名入りの証言も掲載しており、インドでは真相究明を求める声が高まっている。
2005年8月30日(火) 日系メーカーが馬力を水増し?
自動車の馬力を測定する際、ガソリンをどのぐらい積むか、どのようなガソリンを使うかなどについて、これまで統一の基準はなく、メーカーによって様々な基準が用いられてきた。
しかし、最近、アメリカでは、馬力の測定方法を標準化しようとする動きが強まっており、新基準(new Society of Automotive Engineers standards)を採用するメーカーが増えている。<カリフォルニア州は、広告では新基準を用いることを義務付けている。>
ところで問題なのは、新基準を採用した日系メーカーで、馬力数(公表値)の引き下げ(下方修正)が頻発していること。たとえばトヨタの人気車カムリ(3リッター、V6エンジン)は、210馬力と公表されていたが、新基準の採用により、それが190馬力に下方修正された。同様に、レクサスLS430についても、290馬力から278馬力へ、ホンダのアキュラMDXについても、265馬力から253馬力への下方修正がおこなわれた。
一方、ビック3では、新基準の採用により、一部で馬力の上方修正が生じている。たとえばキャディラックXLRは440馬力から469馬力に、コルベットLS7は500馬力から505馬力に上方修正されている。
こうしたことから、アメリカの一部メディアは、日系メーカーは、馬力を大きくみせかけようとしてきた(oversell)のではないかと指摘している。もともと、アメリカでは、日本の自動車について、燃費はいいが馬力が「小さい」との指摘があり、そうした中で日系メーカーが馬力を大きく見せようとしてきたということになれば、たとえ法的には問題がなくても、日系メーカーの消費者に対する姿勢が問われることになる。
関係ないが、アメリカでは、ハイブリッド車の燃費がいわれるほど良くないのではないかということが話題になっている。たとえば、ある性能・価格比較サイトは、ハイブリッド車について、年間の走行距離が相当長距離でなければ、燃費節約分で価格の高さを補えない(元を取れない)とのデータを公表している。
また最近は、新型ハイブリッド車について、燃費を犠牲にして馬力を上げているとの批判を見かける。とくに一部の新型ハイブリッド車については、旧型より馬力を上げているため、結果として、同等のガソリン車とほとんどかわらない燃費(加速性能などは優れている)になっているとの指摘までなされている。
ハイブリッド車の効率性は、交通環境(渋滞の過多)や乗り方によって大きく違ってくる。この点について、メーカーは、はたして充分な説明をおこなってきたのであろうか。企業の姿勢が、問われている。
2005年8月2日(火)@ ホンダ(インド)の労使紛争が終結
7月30日(金)、インドのシン首相は、ホンダ(印)の労使交渉を仲介し、その結果、労使間で合意が成立したと発表した。合意のおもな内容は、@解雇・停職中の約50人の労働者を職場復帰させる(ただし解雇された4人を製造以外の別部門に配置転換する)、A5月、6月の未払い給与を支給する(ただし6月27日以降の給与は支給しない)、B怪我をして働けないものについては病欠手当を支給する、Cホンダは会社に抗議した労働者を一切処分しない、などとなっている(注意:メディアにより報道内容に違いがあるので、ここで記したことは正確でないかもしれません)。
今回の件では、(世界的に大きな注目を集めたこともあり)政府首脳がすばやく問題解決(事件の全容解明)に乗り出し、労使合意が成立した。ホンダ(印)には、上記合意を誠実に履行すること、そして今後、労組を対等な交渉相手と認め、誠実に対応していくことが求められよう。それができなければ、国際企業(様々な社会環境に適応し、現地に受け入れられる企業)とは言えないだろう。
2005年8月2日(火)A アメリカ最大の薬局チェーンでストライキ
ウォルグリーンは、全国に約4,500の薬局を展開する、アメリカ最大の薬局チェーン(2004年度の売上は約370億ドル=約4兆円)。同社・シカゴ地区の約400店舗に所属する約1,000人の薬剤師は、スタッフの増員などを求めて7月6日からストライキをおこなっていたが、スト離反者の続出などもあり、7月25日をもってストライキを中止した。組合は、同社ではスタッフの不足が恒常化しており、顧客の安全を確保するためにスタッフの増員が必要だと主張していた。
ちなみにウォルグリーンの薬剤師の平均年収は約9万ドル(約990万円)。同社は、4年間で20%の賃上げをおこなうことを提案している。<ところで、これにくらべると、日本の薬剤師の給与は格段に低い。何故だろう。薬の値段は、アメリカの方が断然安いと思うが>
2005年7月27日(水) ホンダ(印)で再び大規模な衝突
7月26日(火)、ホンダ(印)の労働者が多数収容されている病院周辺で、ふたたび警官隊と支援者(多くは負傷者や行方不明者の親族と報じられている)の衝突がおこった。
ところで当局は、前日の衝突で約100人の怪我人が出たと発表しているが、AP、ロイターなどは700人の怪我人と報じている。インド議会でも、当局発表の少なさが大きな問題となっている。そして今なお、前日のデモ参加者の多くが行方不明(親族と連絡がとれない状態)のままとなっており、多くの親族が不安にさいなまれている。
なおインド大使のヤスクニ・エノキは、「この事件は、投資先としてのインドのイメージを損ねるものである」と発言し、それがまた反感を買っている。インド政府のスポークスマンは、事件はたまたま起こったもので、「外国企業の法的利益は充分に保護されている」と反論している。
しかし、そうした反論を無視するかのように、トヨタKirloskar自動車部品のキヨミチ・イトウは、「今回の事件が投資家心理に影響し、間接的な影響を与えることを懸念する。インドは、投資家は多様な選択肢をもっていて、中国は依然として魅力的な投資先であることを理解すべきだ」と発言している。
(その一方で、ミツビシのナオヒコ・ムナカタ氏は、今回の事件がビジネスに影響することはないと述べるとともに、今回の事件を教訓に、文化的な相違を理解し、現地の文化や感情を一層尊重することが必要であると述べている。ヤスクニやキヨミチとは大きな違いだ)
この事件は、いま世界的に大きな注目を集めている(この事件を扱ったメディアはとてもフォローできないほど多い)。今回の事件をきっかけに、多くの人に日本の自動車メーカーがフィリピンやインドでどういうことをしているか関心を持ってもらえたらと願ってやまない。
2005年7月26日(火)@ ホンダ(インド)で数百人の怪我人
インドでスクーターを生産しているホンダの100%子会社(2,000人)で、7月25日(月)、約50人の解雇・停職処分の撤回を求める大規模な抗議行動がおこなわれた。<争議の背景はこちら>
ところが、その過程で労働者と警官隊の激しい衝突が発生。BBCは地元テレビの報道として、約700人が怪我をおったと報じている(当局は約100人と発表)。また、公務執行妨害などの容疑で60人以上の人々が拘束された。
この模様はテレビで放送され、インドでは、警察の行き過ぎた行動(暴力)に対し、強い批判がまきおこっている。
日本の海外進出企業は、ほぼ例外なく、労働組合を徹底排除する方針を取っている。トヨタも、フィリピンで労働組合の弾圧を徹底的におこなっている。欧米の企業も組合を歓迎するものはないが、組合弾圧の激烈さにおいて、日本企業の右に出るものはないのではないか。自分のやり方を、とにかく押し付けるというやり方(妥協したり適応するという発想が少ない)は、アロガント(傲慢)としか言いようがない。
2005年7月26日(火)A AFL-CIOの分裂
SEIU(180万)とチームスターズ(140万)がAFL-CIOを脱退した。(追記:7月29日にUFCW(140万)もAFL-CIOを脱退した)
AFL-CIOの分裂については、@民主党が弱体化する、A地域レベルの労働運動(地域評議会など)が弱体化する、といった懸念が出ている。
ただ@については、(1)脱退した組合も基本的には民主党を支持しているので大きな変化はない(SEIUは党派に関係なく、政策が合う候補を積極的に支持するとしているが、大勢に変化はないと見られる)、(2)組合員が増えれば民主党の支持層も増える(大統領予備選挙でSEIUから強い支持を受けた民主党全国委員長ディーン氏の発言)、といったことも言われている。
地域レベルの労働運動について言えば、ニューヨーク・タイムズ(7/24電子版)は、とくに大都市で脱退派が組合員の多数を占めていて、分裂が地域評議会などにおよんだ場合の影響を懸念している。地域の労働運動については、正直あまりくわしくないが、昨日、KPFAかKPFKを聞いていたら、SEIUの地区代表(西地区?CA?)がインタビューを受けていて、「分裂後も地域活動は従来どおり他組合と連帯しておこなっていく」と述べていた。分裂が、組合間の協力関係にまで影響しなければ、今回の分裂のマイナスの影響は小さなものにとどまる可能性もあるのではないだろうか。
現地からの詳しい情報を待ちたい。
2005年7月25日(月)@ AFL-CIOの行方
AFL-CIOが分裂の「危機」を迎えている。数日内には最終的な結果が明らかになりそうな中、今、結果を予測することにどれだけの意味があるかわからないが、少なくともSEIU(国際サービス従業員労組)はAFL-CIOを脱退する可能性が高そう。(脱退の背景については、こちらを参照してください)
分裂の背景にあるのは、@政治関与を減らして組織化を重視するか(脱退派)、A一定の政治関与は必要とするか(残留派)という対立。これについて、アメリカでは、次のような見方がなされている。
(1)組合幹部の権力闘争に過ぎないとする見方。
(2)拡大を続けるサービス産業(脱退派)と、縮小を続け政府の援助や規制(輸入規制など)に期待を寄せる製造業(残留派)の対立とする見方。(前者は組織化を重視し、後者は政治を重視する)
(3)今、政治資金を減らせば、国政レベルで保守化、企業至上主義がますます進み、労働組合の弱体化が加速するとする考え方(残留派)と、今、組織率の低下に歯止めを掛けなければ、労働組合の政治力は近い将来なくなってしまうとする考え方の対立(脱退派)とする見方。(鶏が先か卵が先かというのと少し似ていますが…)
(4)中央での政治活動を重視するか(残留派)、地域での草の根運動を重視するか(脱退派)の対立とする見方。(私見では、実際には、こうした対立軸できれいには切れない)
なお分裂した場合の影響については、1)労組の政治力が低下する(共和党を利する)とする意見がある一方、2)複数のモデルが競い合うことで、グローバリゼーションに適応した新しい形の労働運動が生まれる可能性があるとする見方も出ている。(ちなみにSEIUは、スターン委員長のもとで、1995年からの約10年間に、組合員を110万人から180万人に急拡大させている)
最後となるが、現場の反応もまた多様である。労働者の多くは、今回の分裂について、そもそも充分な情報を与えられていないが、意見は割れているように思う。多くは、連帯こそ力だということで分裂に否定的なようだが、400人のスタッフを抱えるAFL-CIOの官僚主義、政治中心主義を批判し、労働運動が再生するためには組織化に集中することがどうしても必要だという意見もある。
私は、2年ほど前に、SEIUの複数のオルグと話したことがあるが、その時すでに彼等はAFL-CIOの官僚主義を強く批判していた(その時の私には、SEIUのオルグが、SEIU出身のスウィーニーAFL-CIO委員長を批判するのは、大変な驚きだった)。
地域によって一様ではないと思うが、今、若い多くの活動家がSEIUを中心としたサービス産業の労組に参加し、マイノリティーの人々の組織化や地域の草の根運動にかかわっている(30年前ならUAWやUSWAに参加していただろうが)。いい意味でも、わるい意味でも、そうしたエネルギーがなければ、今回のような分裂騒動には至らなかったのではないかと思う。そういう意味で、どういう結末になるかわからないが、楽観して結末を見守りたいと思う。
追記:これを書いた直後、SEIUとチームスターズがAFL-CIOを脱退したとの報道に接した。短期的にはともかく、長期的には、労働運動の再興につながることを強く願う。
2005年7月25日(月)A カナダ、同性婚を法制化
7月20日(水)、カナダでは、同性に異性と同じように結婚する権利を認める法律(結婚した同性カップルに異性カップルとまったく同じ権利を保障する法律)が成立した。
これで、同性婚を認める国はオランダ、ベルギー、スペイン、カナダの4カ国になった。
またペンシルベニア州(米)では、州職員の同性パートナーに異性パートナーと同じ医療保険などを適用するための調査(コストアップ額を算定する調査)が始まった。民主党のエド知事は、この動きを積極的に推進している。
2005年7月25日(月)B アフガンで戦闘激化
アフガニスタンでは、今年に入ってからタリバンとの戦闘が激化。米軍の死者数は、今年に入ってすでに59人を超え、早々とこれまでの年間記録を更新した。これまで、一番死者数が多かったのは2004年の52人。
(参考)
アフガニスタンにおける死者数については、こちらを参照。
イラクにおける死者数については、こちらまたはこちら(CNN)を参照。
2005年7月15日(金)@ シュワルツネッガーに疑惑発覚
ロサンジェルス・タイムズ(7/14電子版)は、シュワルツネッガーが州知事当選後、ボディービルダー雑誌と、5年間で8億円をこすコンサルタント契約を結んでいたことをすっぱ抜いた。
契約によれば、雑誌の広告収入の1%(1年につき最低1.1億円を保証)が、シュワルツネッガーに支払われることになっている。
ここで問題になるのは、雑誌広告の大半が栄養補強品で占められていること。昨年、シュワルツネッガーは、高校で栄養補強品の使用を制限する州法に拒否権を発動しており、コンサル契約との関係が改めて問題となっている。もうそろそろ引き際か?
追記:2005年7月15日(金)、シュワルツネッガーは、ボディービル雑誌のコンサルタントを辞任した。
2005年7月15日(金)A 国際感覚の欠如
小泉は、靖国参拝について「話せばわかる」と繰り返し述べている。これほど、日本の政治家の国際感覚の欠如を示すものはない。いったいどの国が、小泉の主張を認めるというのか。
日本のメディアは、歴史教科書等をめぐる日中対立について、諸外国はむしろ日本を支持しているような妄想を振りまいているが、それは正しくない。確かに、中国で生じた一部の過激な行動については、それを支持するものはなく、国内不満のはけ口として「反日」が利用されていると指摘する海外メディアは多い。
しかし、その一方で、日本の歴史教科書や靖国参拝に理解を示す海外メディアは、皆無と言っていい。日本のメディアは、中国への警戒心が強い一部諸国のメディアの親日発言を大きく扱って、日本を支持する国が多いように見せかけているが、それは世界的にはまったく顧みられることのない少数意見に過ぎない。
アメリカや欧州のメディア、政治家が、「つくる会」の歴史教科書や靖国参拝に理解を示すことなど常識的にありえない(註1)。そんな当たり前のことが、メディアも含めてこの社会では全く理解されていない。去年から今年にかけて、海外では、日本で急速に右傾化が進んでいるという見方がほぼ定着したように思うが、そのような見方が広がっていることも、日本ではほとんど知られていない。今の日本には、唯我独尊という言葉がぴったり当てはまる。このまま行くと、日本は国際社会で孤立を深めていく一方だろう。国際社会では、日本の保守派の歴史観が入れられる余地などまったくない。
註1 アメリカ政府は、歴史問題などについて、中立の立場を取っている。政治家、外務省官僚、メディアは、それを日本への暗黙の支持と受け取っているが、それは正しくない。むしろ、同盟国に対し、中立を保たなければならないところに、アメリカの苦悩(とても日本の主張を支持できない)を見て取るべきだろう。
2005年7月12日(火)@ 国連が日本における差別を調査
差別の現状を調査するため来日していた国連人権委員会のディエン特別報告官は、11日(水)、「日本における差別は非常に根深いが、政府はそのことを充分認識しておらず、政治家の間には差別と戦う姿勢がほとんど見られない」とする記者会見をおこなった。
今回、ディエン氏は、とくに在日韓国・朝鮮人、在日中国・台湾人、アイヌ、被差別部落の人々に対する差別を調査。ディエン氏は、来年3月に国連人権委員会に提出する報告書で、日本政府に、反差別法を制定するよう提言するとしている。
なおディエン氏は、石原都知事に会見を申し込んだが、多忙を理由に会見を拒絶されたと述べている。石原は、自分の発言が正しいと思うなら、会見に臨み、女性や外国人に対していつも言っていることを強く主張すべきではなかったか。逃げるとは、実に卑怯な奴だ。(小泉にも、サミットや国連の場で、是非、靖国や第2次世界大戦についての持論を堂々と主張して欲しいものだ。その時はじめて、この社会の住人は、国際社会の常識(反応)と向き合うことになるのではないか)
2005年7月12日(火)A 米英軍のイラク撤退計画
ワシントンポスト(7/10電子版)は、米軍が、2006年初頭までに18県中14県の治安維持をイラク軍に委譲し、連合軍の兵力を16万人から6万6千人に大幅削減する計画を立てていることをすっぱ抜いた。
同紙によれば、イギリス軍も、2006年4月までに南部4県の治安維持をイラク軍に委譲することを希望しており、兵力を8,500人から3千人に大幅削減する計画を立てているとしている。
イラクでは、1月の総選挙後も反乱軍の攻撃が弱まる気配は見えず、とくにこの数ヶ月は、連合軍の死傷者が劇的に増加している。米軍の死者は、5、6月それぞれ約80人に達している。こうした中、アメリカでは、ブッシュの支持率が急降下。イラク駐留米軍の縮小・撤退を求める声が高まっている。
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