悪性リンパ腫について 基本

1.そもそもリンパとは?
2.悪性リンパ腫とは
3.リンパの腫れについて
4.悪性リンパ腫と言われたら
5.ネットを使った悪性リンパ腫勉強法
6.悪性リンパ腫の治療法



1.そもそもリンパとは?
(1) リンパ管、リンパ節について
私が病気を宣告された時、リンパ自体も何なのかわからなかった。
調べてみると、体には、血管と同じようにリンパ管というものが全身にあり、その中をリンパ液がゆっくり流れているのである。そして体の中や血液で処理できない異物などを回収している。
また、リンパ節というものがあり、そこにはリンパ球があり、異物や細菌、ウイルスなどをせきとめている関所のような役割を果たしている。リンパ節は首の付け根や脇の下、足の付け根などに多くある(全身で約600個)。風邪などで腫れるのは、この関所でリンパ球が分裂したり、異物処理をしたりしているからである。

⇒つまり、「異物を運ぶ下水道的役割」、と「ウイルス、細菌をやっつける免疫の担い手」が大きな役割である。

(ちなみに、一般にウイルスなどが進入してきた場合、まず、@繊毛運動で異物を外に出そうとし、Aだめならマクロファージがインターフェロンなどの物質を用いて攻撃、細胞を食べたりする。Bそれでもだめな場合はリンパ球であるT細胞やB細胞が攻撃を行う。リンパは熱があがると活性化する。)

血管は心臓がポンプの働きをするが、リンパにはなく、筋肉がポンプの役割を果たしている。その為、長時間同じ姿勢でいたり、筋肉が衰えると、いわゆる、「むくみ」となる。

(2) リンパ球について
人間の血液は、血球と血漿から成っている。血漿は液体成分(殆ど水)で、血球には大きく3種類がある。
酸素や栄養分を運ぶ赤血球、出血をとめる血小板、体を侵入者から守っている白血球。これらの成分は主に骨髄で幹細胞としてつくられ、そして各血球に進化して、血液の中に送り込まれて行く。
白血球は正に体の免疫の主役だが、白血球でも@細菌などを食べる顆粒球、Aウイルスをやっつけるリンパ球やBマクロファージ(単球)にわかれる。
これらは、元々大きなばい菌や細菌だけに対応していたのが、多様化するウイルスなどに対応できる様、進化してきた人間の免疫の結果、たくさんの種類ができてきたとの事である。
更にリンパ球はB細胞T細胞NK細胞の種類があり、抗体などを使ってウイルスやがん細胞などを駆逐する。 
ちなみに、血液の量は体重の約13分の1ほど。寿命は赤血球が約120日、血小板が7〜14日、白血球が3〜5日程度。

(3) 免疫関連臓器等について
よく悪性リンパ腫や白血病で脾臓が腫れるが(私も10倍に腫れ、おかげで胃が食道位になり、極度の少食になってしまったのだ。)、脾臓とは何か?を調べた。ついでに他の臓器も簡単に記載。

@脾臓
左上腹部にあり、にぎりこぶし程で約100gの器官。防衛反応をつかさどり、血球の産生、細胞や異物の破壊処分、循環血液量の調節を行う。赤血球が多くあり、赤黒い色をしているという。
ちなみに「お前ひ弱やなあ〜」の「ひ」は脾臓の事らしい。

A胸腺
リンパ球を様々な機能を持つ様教育し、成熟させる器官。成人では退化傾向。

B骨髄
白血球を作る造血組織。骨の中にあり、スポンジ状になっている。成人は平均2.6kg程ある。




2.悪性リンパ腫とは
悪性リンパ腫とは、白血病や骨髄腫と同じ血液・リンパのガンである。リンパ節や胸腺、扁桃、脾臓などのリンパ組織に腫瘍ができたり、リンパ球がガン化する。
悪性リンパ腫は、腫瘍の組織的な違いから、大きく分けて「ホジキン病」と「非ホジキンリンパ腫」に分けられ、その中でも細胞の種類(B、T、NKなど)があり、腫瘍細胞の増殖の仕方や、がん細胞の形などから、30種類以上のタイプ(濾胞性、びまん性、マントルセル、等)に分類される(詳細はこちら)。
タイプが多い上、病期(T〜Wまでの進行度)や年齢、状態などで、同じ悪性リンパ腫でも治療が異なり、素人には理解するのが、難しい分野と言われている。(医者でも専門の血液内科以外はそんなに知識のない人が多く、早期の発見は難しいと言われている。)

(1) 分類
@病期: A悪性度
低、中、高とあり。低悪性度:年単位、中悪性度:月単位、高悪性度:週単位で進行する。低は進行は遅いが、完治しにくい、高は進行は早いが、抗がん剤が効きやすい、等がある。

(2)診断方法
以下のような診断方法がある。当然全てを行う訳ではない。

@生体検査(生検)
1) リンパ節生検
リンパ節をひとつ切り取り、その組織を顕微鏡などで調べる検査である。頚部(首)あたりから取る事が多い様だが、病気の状況などによる模様。通常局部麻酔で行われる。
一般に行われる針生検では、悪性リンパ腫の診断は難しい模様。

2) 骨髄穿刺(マルク)
骨の中に骨髄というスポンジ状の物質があり、ここで血液が造られる。骨髄に病気が浸潤していないか確認する為、骨に針を刺し、生体を抜き取り、検査を行う。周りの人に「これは痛いよー!」と散々いじめられたが、そうでもない。しかし骨髄を抜くときの「ズズッ」という感じは気持ち悪い。

3) 脊髄検査(腰椎穿刺:ルンバール)
中枢系に浸潤(脳への転移など)がないか確認する為、脊髄検査を行う。背骨から針を刺し、髄液を抜き取る。局部麻酔で行われ、施術の痛みはさほどないが、後に頭痛などが出る。
脳は髄液の中に浮いているが、髄液は通常動きがない。それを人為的に抜いてしまう為、2時間は仰向けのまま安静にしなければならない。
A画像診断
1) ガリウムシンチ検査
腫瘍や炎症に集まるガリウムという放射性物質を利用し、箇所や進行具合を見る核医学検査。CTなど画像で現れない体の異変を調べる事ができる。
検査の2日程前にガリウムを注射し、前日からほぼ絶食+下剤。当日はガンマカメラで20〜30分程の撮影。放射能の影響は少ない。

2) CT
X線で、人体を輪切りにした状態で何枚も撮影。リンパ節や脾臓の腫れなどを確認する。より有効に撮影する為、造影剤という薬を注射する場合もある。被爆量が多い。

3) MRI
強い磁石と電波を使って、人体を任意の方向から検査するもので、これで得たデータをコンピューターで解析し画像化する。放射線ではないので、被爆しない。ちなみに機械の音がすごい大きい。
私の検査の場合、被爆量を考え、CTにしたりMRIにしたりされている。

4) 超音波(エコー)検査
発振器によって発生させた超音波を体内に発射し、その反射をコンピュータで処理して、内臓の状態を画像に描き出す検査方法。クリームを塗り、発信器をあてがい、内部の画像を見る。お手軽。

5) レントゲン
いわゆるレントゲン。病気、炎症がある部分が白く写る。

6) PET (陽電子放射断層撮影)
ガン細胞は普通の細胞に比べて、3〜8倍のブドウ糖を摂取する特徴がある為、ブドウ糖に放射性同位元素を合成したFDGという薬剤を注入し撮影、その集積度からガンを発見する。
一度に全身を調べる事ができ、ミリ単位のガンでも発見できる。集積度によって悪性度も判断できる。
但し、ブドウ糖が集まりやすい脳や膀胱は診断が難しく、CT, MRI, 超音波を組み合わせた方がより良い。

Bその他
1) 血液検査
悪性リンパ腫の診断としては、腫瘍マーカ値(IL-2R、フィブリノゲン、等)、炎症反応(CRP)、LDHの確認などがある。
腫瘍や炎症がある場合にこれらの値が上昇する。

腫瘍マーカ:ガンの目印となる物質の総称。血液、尿、便などでわかる。但し、がんに関係なく増加する場合もあり、確実ではない。参考にする。

2) 遺伝子検査
染色体検査による診断。

(3) 症状
リンパ節などの痛みはないが、腫れが認められる。首の付け根のぐりぐりが一番発見しやすく、私もそれで発見した。全身に広がると、体重減少、寝汗、倦怠感、痒みなどがある。(病期も体重減少10kg以上、ひどい寝汗、発熱38度以上、の症状がひとつあるかないかにより、同じ期でもaとbに分かれる。)




3.リンパの腫れについて
この章の冒頭で説明した通り、リンパが腫れる要因は多数ある。リンパが腫れた為に、そのネーミングからも悪性リンパ腫を心配するケースが多いが、そうでない場合も多く、最終診断は難しい。最終的には生体検査といってリンパを切り取って調べる必要があるが、体を切る手術なのでなるべくなら実施しない方がよく、通常は悪性リンパ腫が疑われる場合のみ行われる。私自身そうだったが、原因を特定するのは難しい。

・リンパの腫れで考えられる要因
風邪、腫れ易い人、局所の炎症、風疹、伝染性単核症(若い人で、圧通がある場合に多い)、結核、梅毒、野兎病(圧通有り)、サルコイドーシス、悪性リンパ腫、白血病、癌転移、など

以上の通りリンパが腫れる要因はたくさんあり、腫れただけで悪性リンパ腫と考えるのは早計。通常その他症状や血液検査、CT検査などを総合的に見て、悪性リンパ腫が疑われる場合に生体検査が行われる。
あくまで一般的な話だが、枝豆くらいの大きさで、熱も痛みもない場合はそんなに心配ないと言われる。但し、熱をもったり、痛みがある場合は感染症などの恐れがある。どんどん大きくなってきた場合は病院などで検査が必要。

※私の場合、気管支炎→肺炎→サルコイドーシス?→悪性リンパ腫と診断。約一年かかった。会社の健康診断では、倦怠感なども訴えたが一切引っかからなかった。




4.悪性リンパ腫と言われたら
これまで述べてきた通り、一口に悪性リンパ腫といっても種類は様々であり、治療法も違う。その為、もし悪政リンパ腫の宣告を受けたなら、きちんと主治医より説明を受ける事が大切である。以下のような事を確認しよう。

(1) 病名は何か?
 ・「ホジキン病」か「非ホジキンリンパ腫」か?
 ・B細胞型かT細胞型か?
 ・その中でタイプは?

(2) 進行度は?
 ・病期(T〜W)、及び症状を確認(腫れているリンパの箇所、その他の臓器の状態など)

⇒病名、進行度が明確でない場合は、特定の為に必要な検査内容を確認しよう。

(3) 治療法は?
 ・化学療法、放射線療法、手術療法、自家移植、同種移植、リツキサンなど
 ・化学療法であれば、どの療法か(CHOP, ESHAP, By-Weekly CHOP など)。

(4) その治療法の選択理由は?

(5) 治療期間は?
 ・入院か、或いは通院で可能な治療か。

(6) 副作用、後遺症は?
 ・特に生殖関係は確認しておいた方が良い。

(7) 更なる確認(確認したい方のみ)
 ・その治療で治る可能性はどの位あるか(5年生存率など)。
 ※生存率は初発、再発や化学療法のみなのか、そうでないのか、など前提条件をきちんと確認しておく必要がある。
また移植関連では生存率に出てこない情報(拒絶やGVHDなどのQOL関係)も重要と思われる。
 ・万一の場合の代替療法は。




5.ネットを使った悪性リンパ腫勉強法
今これを読まれている方は、私のHPにたどり着く位なので、既に他のHPでかなり勉強された方だと存じますが、一応私が勉強になったHPなどを簡単に紹介します。
私のHPで満足できない人、更に知りたい事がある方は是非勉強して下さい。

(1) 基本
まずは以下2つのHPで悪性リンパ腫全般について勉強。このふたつだけで患者としての知識は十分つける事ができる。
@国立がんセンター(の悪性リンパ腫のページ)
Aネクサスの「医療情報」など
(2) 第二段階
更に以下で大勢の患者さんとの交流を行い、皆さんの考えや新たな知識を得る。
@ネクサスの会員になり、「会報」や「メーリングリスト」で知識をつける(会費が必要)。可能であれば「交流会」にも参加。
A悪性リンパ腫と闘う会の「メーリングリスト」及び「掲示板」でも知識をつける。
B悪性リンパ腫の個人HPとしてはダントツで秀逸な悪性リンパ腫体験記を読む。「掲示板」でも勉強できる。
また、DAYSでは、女性ならではの観点で書かれており、男性の自分としては目からうろこの部分も多かった。違う視点で作られたHPが新鮮に感じた。

※但し、メーリングリストや掲示板は患者同士のやりとりが殆どの為、勝手な思い込みなどの誤った情報(私のHP同様!?)や、不安から来る非常にネガティブな意見もあり、注意が必要。
(3) 第三段階
@本HPで紹介している「お勧めのページ」関連のHPを読む。
Aまた、ネットではないが、「参考文献」の本も読む。ネクサスで新しい文献などが紹介されている。
第二段階までは殆どの方が通られる道だと思います。第三段階あたりまできたら、、、そんなあなたはもう、悪性リンパ腫おたくです。

(4) 第四段階
@海外には数多くの悪性リンパ腫関連サイトがあります。英語ですが、数多くの情報があります。まだ私自身少しずつ読んでいる段階ですが、、、海外のページはこちらからどうぞ。今後も探していきます。

また、どうしても英語は苦手だけど、海外の文献が見たいという方はこちらで翻訳できます(Translateをクリックし、Translate a Web Pageでアドレス入力、English to Japaneseにします)。但し、意味がなんとなくわかれば御の字、くらいの翻訳ですが、、、

A更に海外のページの「5. Cyber Family」にあるメーリングリストからも色んな情報がとれます。内容的には日本のそれとそんなに変わりはないですが、メールの量が半端ではないです。興味のある方は加入しては如何?



6.悪性リンパ腫の治療法
通常とられる治療法は以下の通り。予後因子などを元に患者と相談して決められる。

(1) 化学療法
いわゆる抗がん剤治療。DNAに作用し、細胞分裂させない事で細胞を殺す。DNAの異常により、アポトーシス(細胞の自殺)を行う事無く永久に分裂を繰り返すガンを殺すための化学療法だが、正常細胞にも大きな影響を及ぼす。ガンが耐性を簡単にもてない様、通常多剤を併用する。
特に造血に関する病気なので、白血病と同様に抗がん剤が非常に良く効く。
20年以上前からCHOP療法という標準的な治療が確立している(しかし、マントルセルなど低悪性度には非常に効きにくく、より強力な化学療法がなされる場合が多い)。逆に言えば進化がなかったのだが、2001年よりリツキサンが日本でも認可された。その他、ゼバリンという薬も海外で臨床試験中。

CHOP療法:20年ほど前に確立された悪性リンパ腫の標準療法で4種類の薬の頭文字から来ている(シクロホスアミド、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ビンクリスチン及び副腎皮質ホルモンであるプレドニゾロン)。
通常1クール3週間で6〜8クール実施するが、下記リツキサンと併用する事でより高い効果が出る事が確認されている。
その他、MACOP-B療法やCOP療法、2週間毎に実施するBy-Weekly CHOPや、Double CHOP。DHAP, ESHAP, EPOCHなどのサルベージ療法、CVAD療法、ホジキン病にはMOPPやABVD療法などタイプに合せた多数の療法がある。

リツキサン:CD20が陽性のB細胞のみを攻撃する新薬(モノクローナル抗体療法)で2001年に日本で認可された副作用の少ない薬である。リツキサンのみでは一週間毎に4回実施する(2003年に現在保険適用が1セット8回まで、中、高悪性度にも適用された。)が、化学療法と併用する場合は、化学療法の投入時期に合せる。
画期的な効果を出しているが全ての人に聞く訳ではなく、また長期的な効果は不明の部分もある(経過観察中)。従来の抗がん剤とは異なり副作用が少ないが、まれに高熱や間質性肺炎を起こす。あまりにがん細胞が多い状態で使用すると、一気にがん細胞がやられる為、腎臓で処理できず腎臓に障害が起きる。私の場合は1回目の治療で白血球のガンが1%までおちたので使用できるとの事。リツキサンは短期間に効果が出て、かつ体に数ヶ月残る。腫瘍のかなりの部分が壊れる為、血液にそれが出て、排泄するのに腎臓の負担が出る。
尚、正常B細胞にもCD20が発現しているので、抹消血中のB細胞が3ヶ月〜半年程度消失する事も知られている。
ちなみにリツキサンは、マウスの遺伝子に人の遺伝子を混ぜ合わせ(キメラ抗体)、牛の体で培養をしたもの(らしい)。

(2) 放射線治療
患部に放射線を当てると、細胞のDNAに直接作用し、細胞が分裂して数を増加させる能力をなくす。
リンパ節の腫れが一箇所の場合など初期、或いは化学療法後最後に残った場合などに放射線治療が行われる。放射線があてられる容量は場所によって決まっており、それを超える事はできない。
また、正確に患部に照射できるが、化学反応を起こすという事は炎症が起こるという事であり、通常治療部位、及び全身にも副作用は発生する。
悪性リンパ腫は放射線への反応性が高く、有効な治療と言われている。週5回、一ヶ月程度行ったりする。

(3) 造血幹細胞移植

@自家造血幹細胞移植、自家抹消血幹細胞移植

自分の幹細胞 or 抹消血を取り、ろ過してガン細胞をなくした後(100%の保障はない)、再投入する。事前に超大量化学療法、全身放射線などで、骨髄を空にする。順序としては以下。

1) 化学療法、放射線の治療などにより、寛解かそれに準じた状態にする。
2) 移植の為の各種検査を実施(病気などがあると命取りになるので事前に移植ができるか各種検査、場合により治療を行う。)
3) 自分の血液を採取する。
4) 超大量化学療法+全身放射線(前処置、骨髄破壊的処置)を行い骨髄を空にする。
5) 採取しておいた血液をろ過した上で自分の体に戻す。
6) 骨髄に定着するまで待つ。

※前処置は大変厳しい処置であり、骨髄の機能が長期間(一生)完全には戻らない場合もある。
※完全にがん細胞をろ過できる保障はないので、再発の危険性も残る。ただ寛解の状態で移植を行えば再発は少ないと言われている。そうでない場合はやはり再発が多い。

A同種骨髄(造血幹細胞)移植
他人(ドナー)の骨髄を投入する。自家造血幹細胞移植と同様に、事前に超大量化学療法、全身放射線などで、骨髄を空にする。
自家と違い、他人の骨髄を投入する為、その他人の白血球が自分の体を攻撃するGVHDという症状が発生する。これはがん細胞をやっつけ、再発を予防してくれるが(GVL(Graft Versus Leukemia)効果、GVT効果(Graft Versus Tumor))、長期間自分の体を異物と認識して攻撃したりし、諸刃の剣となる。(逆にGVHDが発生しなければ再発の恐れが高くなり、どこまで免疫を抑制するかが医者の腕の見せ所と思われる。)
※通常HLAが一致していても移植された白血球は「違う個体」と認識する。遺伝子が違う為、と言われている。双子などは認識されないが、その分GVL効果が弱まり、再発が多い。
※移植は、完治が見込まれる一方、まだ悪性リンパ腫では確立されていない危険な治療という面もある。移植後100日以内に発生するGVHDを急性GVHD、100日以上は慢性GVHDと呼ぶ。HLA一致の場合で約4割が急性GVHDを発症すると言われており、発生した場合治るか重症化するかのケースが多い。一方慢性GVHDは良くなるのも悪くなるのも年単位である。残念ながら移植はまだ治療関連死も多い為、予後絶対不良や明確な治療抵抗例に実施されるケースが多い模様。

上記@、Aの前処置では骨髄破壊的処置により様々な合併症が大きな問題となる。決して楽な治療ではない。

※骨髄移植を他人から貰う場合と自分のでやる場合の比較
メリットデメリット
骨髄移植(ドナー)骨髄がクリーン。
悪性リンパを免疫で攻撃してくれる。
HLAの合うドナーがいるか。GVHD、拒絶 (数ヶ月で治まるものもいれば、ずっと出る人もいる。)
自家末梢血幹細胞移植GVHDがない。
回復が早い。
完全にがんが除去できない場合がある(再発リスクは残る)。
数年後に骨髄異形成症候群(MDS) 等を発症する場合がある。

(4) 経過観察
低悪性度で進行が見えない場合、経過を見る事も少なくない。

(5) 実験的な治療法

@ミニ移植
厳しい前処置をしなくても、移植したリンパが生着し、がん細胞を攻撃することがわかり、前処置を軽くした移植方法。
前処置が軽くなった事で適用年齢を広げられるが、当然GVHDは発生する。現在は50歳以上で他に治療法がない場合に適用されている模様。
また、前処置の度合いは様々な強さがある。

Aさい帯血移植
赤ちゃんが生まれた時のさい帯(へその緒)を利用した移植。さい帯血には多くの造血幹細胞が含まれており、バンクがある。凍結保存してある為、タイミングよく移植を行えるが、大人には幹細胞が足りないという問題もある。HLAもあわさなくて良い。
※さい帯血移植のミニ移植もある。

B母子間移植
母親のお腹にいた時に、母子の血は交じり合っていることがあるので、移植をしてもあまり免疫反応がおきない免疫寛容という状況になる人もおり、移植がおこなわれつつある。

Cゼバリン(イブリツモマブ)
アメリカで認可されているモノクローナル抗体でリツキサン以上の奏功率。CD20抗体に放射性物質イットリウムが加えられたものであり、リツキサンによるがん細胞攻撃+放射線による周囲の細胞の攻撃がメリット(悪性リンパ腫は放射線によく反応する)。日本では治験中。放射性物質である為、強い骨髄抑制が出る。その為、化学療法との併用はせず、単独での使用のみの模様。

Dフルダラビン、シタラビン
ゼバリン同様治験中(慢性骨髄性白血病では認可)。濾胞性などの低悪性度リンパ腫に効果があるといわれている。
フルダラビンの事はよく知らないが、説明として以下発見。「血漿中で脱リン酸化され細胞内へ取り込まれた後、再びリン酸化され活性代謝物となり、核酸合成を阻害することにより抗腫瘍効果を発揮する代謝拮抗剤です。」

Eその他
CD22(epratuzumab)、CD52(alemtuzumab)、HLA-DR(Hul1D10)などの蛋白に対する抗体の可能性が検討されている模様。

F小児悪性リンパ腫
小児というのは医療の世界では15歳以下だが、25歳位までの人間は小児のプロトコル適用の方が良いとも言われている。大人は40歳以上がメインの対象。(細胞分裂の早さが大人と子供ではかなり違うので治療法も違う。)

※分子標的薬について
上述しているリツキサンはモノクローナル抗体(分子標的薬)といって、特定の病気に関与する蛋白や遺伝子の反応の流れを標的とした薬物である。副作用も比較的少ない。
現在日本では、リツキシマブ(リツキサン) の他、乳癌のトラスツズマブ(ハーセプチン)、慢性骨髄性白血病治療薬のメシル酸イマチニブ(グリベック)、非小細胞肺癌に対するゲフィニチブ(イレッサ)がある。広義ではアスピリン、H2ブロッカーなども含まれる。

(6) 将来的な治療

@免疫療法
現在の三大療法(手術、化学、放射線)に続く四つ目の療法として注目されている免疫療法(下記6)など)。病気が治っても他の病気を誘発するなど、副作用の恐ろしい三大療法に加え、本当に免疫療法が効くのであれば夢のような療法に思える。私としても是非チャレンジしてみたいが、、、
自分で行えるようなものから、リンパ球を培養する高額なものまで、様々ある。
1) 心理療法
笑ったり、瞑想したりする事で、免疫を活性化させる方法。
2) 健康食品
アガリクス、プロポリス、AHCCなど
3) 免疫賦活剤
免疫力を賦活する薬物を用いた療法。直接攻撃する作用はない。
4) サイトカイン療法
がんを殺す作用のある、サイトカイン(IL-2R, IFN, TNFなど)を用いた治療法。抗がん剤との併用の場合もある模様。
5) ワクチン療法
ワクチンにより腫瘍に対する免疫を誘導する方法。
6) 免疫細胞療法
血液中のTリンパ球を対外で培養しながら活性化させて体内に戻す方法。1,000倍に増やすが、副作用の心配が少ない(稀に熱などを発生する場合がある)。ほとんどのガンに適用可能との事であるが、悪性リンパ腫へはどうだろうか?治験が始まったと聞いたが、詳細は不明(素人考えでは、がん細胞であるリンパまで増殖されないか心配である)。保険適用外であり、100〜150万程度する模様。今は末期がんの患者さんが多いが、寛解した後などに再発予防的に行うのが一番良い、と専門家が雑誌に答えていた。ローンならくめない程ではないが、、、、保険適用まで耐えるか?
A遺伝子療法
抗腫瘍免疫にかかわる遺伝子を用いて、免疫力を上げる方法(上記免疫療法と重なる部分がある)。

B温熱療法
電磁波を用いて体を熱し、熱に弱いガン細胞をやっつけるという療法。全身療法もあるらしいが、悪性リンパ腫でどれほどの効果があるのか不明。41℃以上で効果が出るが、体の奥には効果が出にくい。

Cウイルス感染療法
活発に分裂するがん細胞に感染し、正常細胞で増殖しないウイルス(HF10)を感染させる治療法。がん細胞のみをウイルスが攻撃する。